1年に何度か不意に湧き上がってくる『ジブリが観たい!』という気持ち。
いつの時代も色褪せることのなく、世界中の老若男女を魅了し愛され続けてきた
”駿さんワールド”に浸りたくなる、今日この頃。
そんなタイミングで、実家に帰った時の録画リストの一覧を何も考えずに見ていたら、
あったではないか、いくつかのジブリ作品が。
これは観るっきゃない!と意気込み、録画されているものを一気に観たのである。
”作品”と言われるもの全てに当てはまるように、
子供の頃にみた時と、大人の頃にみた時では
感じ方や視点が異なり、その都度新しい感情が湧いてくることがある。
ジブリもまた、そういった気持ちにさせてくれる本当に素晴らしい作品である。
私はその時の自分の感想を”備忘録”として、綴ろうと思う。
てか、この作品、お洒落すぎないか?!
今回私が観たのは『耳をすませば』という作品だが、
久しぶりに観たざっくりとした感想は、『こんなお洒落だったの?!』
という一言だった。
ただの学生の青春ラブストーリーかと思っていたら、
ヴァイオリン職人を目指す男の子と小説家を目指す女の子の
将来に不安を抱えながら互いに恋心を抱く
リアルと純粋さを兼ね備えたラブストーリーではないか。
年齢設定が中学生なのにも関わらず、なんとも大人びいた、
かつクリエイティブな世界のリアルが詰まったストーリーなんだ。
こりゃお洒落すぎて、思わず私はため息をついてしまいたくなる。
君らは本当に何歳なんだ?と突っ込みたくなるぐらいに。
聖司くんの当時のファッションを改めて見てみよう。
ハイウェストのパンツにシャツタックイン。
自転車はクロスバイク。韓国風の髪型で色白の顔立ち。
まるで今の時代の流行りに合わせたかのような、完璧なスタイル。
数あるジブリキャラクターの中で、今も人気を誇る要因は、
この揃いに揃ったスタイリングにあるのだろうと改めて感じた。
こちらもよく見て欲しい。アトリエをやっている、聖司くんのおじいちゃんを。
アトリエの内装、置いてあるもの(バロン、時計など)、
そしておじいちゃんのファッション。
全てがクリエイティブでお洒落すぎるではないか。
またおじいちゃんのお友達は音楽仲間という設定。
その名の通り、お友達も揃ってファッショナブルであり、
雫と聖司くんが奏でる音楽に混じって、即興で華麗に楽器を弾き、
セッションを行うという場面があるが、
冷静に考えてハイレベルすぎないか?
普通の会社員として生きてきた私にとっては、
ほぼ真逆であろうこの世界観に少し圧倒されたのだった。
この物語自体を東京を舞台に描かれているが、
昔の時代でさえ、すでに最先端を貫いてきたのであろう姿がよくわかる。
だてに”日本の首都”のポジションについていないのであった。
また、大学は東京の学校にいたこともあり、東京在中の友達が何人かいるのだが、
その子達の中にも、同じようにこのようなクリエイティブな世界にいる子は実際多く、
そういった人達には、違和感はなく、むしろ共感できるところが多々あるんだろうなと
勝手に想像していた。
そして、もう一つ大きく感じたことがあるので、言わせてほしい。
ラブストーリーの内容がとにかく甘酸っぱく、ロマンチックすぎる
雫と雫の親友の夕子ちゃん、そして杉村の三角関係。
夕子ちゃんは、最近別の男子に告白されだのだが、
でも本当に好きなのは野球部の杉村が好きで、でも、杉村は雫が好きで。
そんなことも知らず雫は夕子ちゃんを応援するのだが、
突然、神社で雫は杉村に告白されてしまう。
当然、雫は杉村を友達としか見れないを伝え断ってしまうが、
この時自分の鈍感さに気づき、少し自己嫌悪に陥ってしまうという流れ。
各々事実を知ってしまったあとの、
夕子ちゃんと杉村とのやりとり、雫と杉村とのやりとりから感じる
リアルなソワソワ感と絶妙な空気感。
メインは雫と聖司くんだから、
何気なくさらっと描かれている感じがするが、
ぜひこのやりとりにも目を向けて感じてほしい。
雫と聖司くんの物語が始まるきっかけについて改めて整理しよう。
『図書館で借りた本に付いている読書カードで同じ名前を何度も見る内に
存在感が膨らみ、どんな人なのかと思いを馳せる。』
といった流れでストーリーが進んでいくのだが。
おいおい。そんなことあるか(笑)ロマンチックすぎるだろ。
と、これまた突っ込みたくなるのであった。
本など無縁で根っから運動っ子だった私からしたら、考えられない世界観だ。
気になる人の名前をなんとなく追いかけるように本を読み続ける姿から
じわじわ感じる、ドキドキ感。
こんなことがもし現実的にあるのであれば、
読書カードがあった時代に私も戻って一度してみたかった。。。
またこの場面を見ると、
あぁアナログってこういうところがいいよなぁ。
っと感じさせられるのだ。
図書館に勤めている雫のお父さんが雫に、
本の管理がバーコード化することを何気なく話すのに対して
『やっぱり変わっちゃうの。私カードの方が好き。』
という雫のセリフ。
はい、私もそう思います。
聖司くんがイタリアの修行から1日早く帰国した早朝に、
雫に会いに自転車で迎えに行き
ふたり乗りをしながら長い坂を登り高台へ向かう。
自分の大好きな夜明けの景色を好きな人に見せながら
『自分が一人前のヴァイオリン職人になったら結婚してくれないか』
とプロポーズをするラストシーン。
これぞ、青春。アオハル100点満点のシーン。
冷静に王道と言ってしまえばそれまでだが、
いや、むしろ、それがいいんやん!と真っ先に私は突っ込むだろう。
女性なら多くの人が憧れる告白シーンは、今も変わらず若さ溢れる美しい場面だ。
補足だが、おじいちゃんのアトリエに置いてある古時計について。
12時になると、町人が洞穴で宝石を探掘し、
8時の数字の部分に王子が出てきて、
一番上には羊から王女に変わり姿を現すという仕組み。
王子は王女に恋をしているが、2人の住む世界が違うことから一緒になれず
12時の時のみ、2人が再会できる唯一の時間を物語っており、
ここにもファンタジーを含んだラブストーリーが描かれているカラクリ時計なのだ。
このように純粋で切ないラブストーリーは
人物だけでなく、物にも含まれ、
さまざまな場面に
”ラブストーリーという名のジャブ”を打ち続けてくるのが、
耳をすませばという作品なのだ。
私はこの感じがたまらなく好きだ。
観ているこっちが少し恥ずかしくなるぐらい、
でも『わぁー甘酸っぱいぃぃ〜』という気持ちさせてくれる。
この感覚を私は何度でも求めてしまうのであった。